「NHKニュース7」の法則　〜標準的ニュース番組攻略ガイド〜

記載内容は2005年3月時点のものです。

日本の標準的ニュース番組を解剖する
「NHKニュース7」徹底解説
「NHKニュース7」の時間割
「NHKニュース7」は、卓球の愛ちゃんが好きである
「NHKニュース7」で、夜景スポットがわかる
「NHKニュース7」で、季節が分かる
「NHKニュース7」で、小さいニュースは女性担当である
「NHKニュース7」はおもしろい！！

日本の標準的ニュース番組を解剖する

　「NHKニュース7」は、日本放送協会（NHK ; Nippon Housou Kyokai）のニュース番組である。毎日日本時間午後7時から30分間、盆暮れ正月も放送。チャンネルは総合・BS2・BShi、海外向けのNHKワールドTV・NHKワールドプレミアムがある。民放の騒々しいバラエティ番組の裏で毎日淡々とニュースを伝え続けている。

　NHKは公共放送なので、視聴率やスポンサーなどは関係ない。事務所の圧力でアイドルの誕生日のニュースも伝えなくていいし、ラーメンや寿司や激安スーパーや主婦の節約知恵自慢なんかもやらなくていい。だからNHKのニュースは、センセーショナリズムに走らず、事実を「公平」「中立」「不偏不党」に伝えていると思っている視聴者も多いだろう。

　しかし、それは先入観でしかない。NHKニュースにもクセがある。

　これから、「NHKニュース7」がどのように作られているのかを（多少不真面目ではあるが）分析していこう。

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「NHKニュース7」徹底解説

　30分間（CMが無いので本当にきっかり30分間）がどのように使われているのか、2004年12月1日を例に徹底解説。

▼［イ］19時00分00秒からおよそ100秒間は、オープニング、これ即ちヘッドライン紹介。ひょこひょことした（？）音楽にのって、その日のニュースが5つくらいテンポ良く簡単に紹介されていく（ちなみに最後の1つは大抵スポーツ）。ただし、号外が出るほどの「有事」の際は00分00秒から「こんばんは」でニュースが始まる。

▼［ロ・ハ］日付けテロップとアナウンサーの「こんばんは」。基本的に、月〜金は畠山さん、土日は末田さんである。畠山さん、5日連続で見るとスーツもネクタイもちゃんと替えている。この点に気付かないと、優良視聴者にはきっとなれない。

　その日に起きた（主に国内の）ニュースがトップ以下、4〜7つくらい続く。原稿の読み上げは基本的に畠山さん・末田さん。トップニュースは、もちろんその日の最重要と思われる話題。それが2つ以上あって甲乙付け難い時は、より視聴者（＝社会）の興味を惹く方がトップになっている（と思う）。

▼［ニ］一段落すると、ストレートニュースに移る。必要最小限、新聞で言えばリードだけの「純粋な」ニュースが1つ30秒くらいで5〜10つ連続で流れていく。この時のニュースの読み上げは、女性が多い。畠山さん・末田さんはちょっと休憩。

▼［ホ］ここで、柔らかいニュースが入ることがある。12月1日の場合は「地上波デジタル放送」関連。他にも年末なら「紅白」もあったりで、実はニュースの顔をしたNHKの番宣だったりもする。

▼［ヘ］スポーツ。主に野球や相撲。

▼［ト］気象情報。月〜金担当は半井（なからい）さん。長いようで短い2分間。「NHKニュース10」のようにやたら冬将軍や太陽が画面をのた打ち回るわけでもなく、いたって普通に伝えてくれる。ちなみにこのコーナーの聞きどころは、終わる時、半井さんから贈られる「今日の一言」（正式名称は不明）である。

▼［チ］放送時間はあと1分で為替と株の値動きに突入。ただし、訂正が入ったり、時間が押していたらクロージングの「夜景」にテロップで情報が表示される。そうでなくても、まきまきで早口気味の時が多い。いつも海外はロンドン市場。

▼［リ］クロージングの「夜景」。なにはともあれ、めでたしめでたし。この後、月〜金は「クローズアップ現代」。

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「NHKニュース7」の時間割

　前項をまとめると次の表のようになる。あくまでも、大雑把な傾向をまとめたものであり、毎日必ずこの通りとは限らない。

　例えば「紅白」「大河ドラマ」などの「番宣ニュース」がある場合、普通のニュースが削られて「おまけニュース」の所に6分ほどの時間を割いて入れられる。さすがにこういう日は、「たった30分のニュース番組に、その5分の1を宣伝の時間に充てるなんて何考えてるんだ！！　ちゃんとニュースを見せろ！！」と言いたくなる。

　また、2005年に入って「為替と株の値動き」は、クロージング時に画面下のテロップ表示となってしまっている。

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「NHKニュース7」は、卓球の愛ちゃんが好きである

　プロ野球がオフの時のスポーツは、そのほとんどが相撲である。しかし、それだけじゃむさいので、活躍する女性スポーツ選手をよく取り上げる。

　2004年12月に最も目にしたのは「卓球の愛ちゃん」こと福原愛選手である。2005年1月下旬ならテニスのシャラポア選手やゴルフの宮里藍選手だ。ここで注目したいのは、字幕テロップ。丸文字で薄ピンク色なのだ。世界最大規模のマス・メディア組織、NHKの「かわいさ」センスはこの文字からにじみ出ていた！！

　もう卓球の愛ちゃんも子どもじゃないんだから、普通の明朝体やゴジック体にしてあげてよ、と思ってしまう。このテロップを見るとなんだか、むかつく。皆さんもぜひご確認を。

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「NHKニュース7」で、夜景スポットがわかる

　放送終了間近、あと数十秒って時にクロージングに突入。ここで映るのは、「きれいな夜景」である。札幌大通り公園、横浜みなとみらい、新宿高層ビル群…。特にクリスマス前にはイルミネーション・スポットの日替わり行脚状態になる。

　毎日これを見ておけば、夜景がきれいなデートスポットもがっちりチェックできること間違いなし！！　ただし、逆にネタがない時は、渋谷のハチ公前交差点とか新宿駅南口とか地方都市の中心街とか、そういう「ごちゃごちゃ」＆「きらきら」な画（え）で終わらせる。

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「NHKニュース7」で、季節が分かる。

　「NHKはやっぱり真面目だなぁ」と思わせるのが服装である。真冬にノースリーブの服でニュースを読む民放の女性アナウンサーを見てると、「この人は二の腕を見せたいだけなのか？」と首をかしげたくなる。でもNHKはそんな無神経なことはしない。

　畠山さんのスーツはほっとくとして、注目すべきは「お天気キャスター」の半井さん。毎日毎日、明るめの服を披露（？）してくれる。夏には浴衣も着る。彼女の着こなしの微妙な変化を読み取ることができれば、日本人レベルが相当高いと言えよう。

　そしてもう一つ。NHKのニュースでは「歳時記」的な話題をよく扱う。梅が咲いた、桜が咲いた、海開きがあった、山開きがあった、お祭りがあった、初雪が降った――などなど。都会に暮らしている人々はこのようなニュースで「ああ、もうこの季節だなぁ」と感じる人も多いのではないだろうか。

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「NHKニュース7」で、小さいニュースは女性担当である。

　一人で30分間ずっとニュースを読むのは無理だ。口や喉がカラカラになる。

　だから、時々、女性のアナウンサーがニュースを読む。ただしこの場合、アナウンサーは声だけで画面には出てこない。どんな時に読むのか分析したところ、そのほとんどはストレートニュースの時だった。畠山さんのフリでニュース映像が流れ始め、女性アナウンサーが原稿を読む。

　ストレートニュースの時は、ニュース映像が連続して流されるので、スタジオの畠山さんは映っていない。たぶんこの時に水でも飲んでいるのだろう。

　ストレートニュース以外でも女性アナウンサーがニュースを読む時がある。それは付随ニュースや「子ども」「家庭」関連のニュースに多かった。意識して調べなければ気付かない「男女の区別」である。これを差別と感じるか、そんなもんだろうと受け止めるかは人それぞれ…。

　ちなみに女性アナウンサーの名前は番組では紹介されていない。

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「NHKニュース7」はおもしろい！！

　ここまでいろいろ見てきたわけだが、まだこの番組には見所・聞き所がたくさんある。

　畠山さんの原稿読み、かんでしまわないかと毎日ハラハラです。半井さんの気象情報の終わりに言う「今日の一言」（繰り返すが正式名称は不明）。この「一言」だけは毎日自分で考えて言ってるんだろうなぁ。この言葉に「はいっ！　気を付けます！！」と思わず返事しそうになってしまう人は日本（いや、世界に）に相当いることだろう。それにしても「気象情報でした」の言葉の後の「キラン」っていう星の音はなんなんだ！？

　実はツッコミどころ満載の「NHKニュース7」。見れば見るほどおもしろくなってくるのだ。もはや、毎日同じ調子を保ち続けていることすらおもしろく思えてくる。この上品な「楽しみ」をあなたも味わってみてはいかがだろうか。

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