5・6年生

大造じいさんとガン　椋鳩十　（五下　大地）

　「さあ、いよいよ戦闘開始だ。」
　二年前から飼い慣らしてきたガンを例の餌場に放ち、おとりにして群れを捕らえる作戦。今年こそは残雪とその仲間を…。
　と、その時、ガンの群れ目がけて、何か一直線に落ちてきた。
　「ハヤブサだ。」
　「あっ。」
　一羽逃げ遅れたガンがいる。それは大造じいさんのおとりのガン。ハヤブサの一蹴りに、ぱっと白い羽毛が暁の空に散る。
　もう一蹴りとハヤブサが攻撃の姿勢をとったとき、さっと、大きな影が空をよぎった。
　残雪！！
　大造じいさんは残雪を狙うも、何を思ったか銃を下ろしてしまった。

赤い実はじけた　名木田恵子　（六上　創造）

　哲夫は綾子の苦手なタイプの男の子だった。だけど、今日はお母さんが風邪をひいていて、仕方なく自分が「魚進」に行かなければならなかった。
　「らっしゃい。」
　哲夫が、学校でのイメージとは違って一人前の魚屋に見えた。生き生きとした口調ときびきびとした動きで刺身を経木で包んでいく。綾子は魚を受け取り、代金を払いながら、初めて哲夫を正面から見た。

やまなし　宮沢賢治　（六下　希望）　→宮沢賢治『やまなし』（青空文庫）
（作品の引用をもって紹介文としました）

　「クラムボンは笑ったよ。」
　「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ。」
　「それなら、なぜクラムボンは笑ったの。」
　「知らない。」
　「クラムボンは死んだよ。」
　「クラムボンは殺されたよ。」
　「それなら、なぜ殺された。」
　「分からない。」